「戦略『脳』を鍛える」を読んで

読書
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こんにちは。AIスタートアップでプロダクト開発をやっている者です。

もともと戦略というテーマへの興味が強くて、この分野の本をよく読んでいます。この本もその流れで手に取りました。

「戦略論を知っている」と「勝てる戦略をつくれる」は別物

冒頭でいきなり核心をついてくる本で、「戦略論を勉強するだけでは、勝てる戦略はできない」という話から始まります。

孫子の兵法を学んだ参謀同士が戦えばどちらが勝つか。同じ戦略論を学んで同じロジックで戦えば、互いに手の内がわかってしまい差がつかない。だから定石を知っていることと勝てることの間には大きな隔たりがある、と。

これが刺さりました。「フレームワークを理解している」「定石をおさえている」——でもそれだけじゃ戦略は作れない。そのギャップを埋める「インサイト」を体系化しようとしているのがこの本です。

インサイトの中身については本書を読んでほしいのですが、大きくは「思考のスピード」と「思考のレンズ(モノの見方)」という2軸で整理されています。それぞれにさらに具体的な要素があって、全体がきれいな公式として示されるのが気持ちよかったです。

プロ棋士の思考モデルが面白い

本の中で特に印象に残ったのが、プロ棋士の話。将棋の一局面で考えられる手は平均80通りもあり、数十手先まで読むとコンピュータですら処理しきれない計算量になる。なのになぜプロ棋士は短時間で指せるのか。

答えが面白くて、左脳ではなく右脳で読んでいるから、という話でした。このアナロジーを通じてインサイトとは何かが具体的に見えてくる構成になっています。

個人的には「左脳だけで考えるクセがついている人は、思考のスピードが遅くなる」という指摘が一番刺さりました。データを渡すと数値で詰めようとするタイプは特にこの傾向があると書かれていて、これは自分のことを言われている気がしました。

ワークがあるのがよかった

地味によかったのが、ところどころにワーク問題が挿入されていること。「あなたが小さな町のパン屋さんを経営しているとして、売上を上げるためにどう考えるか」みたいな設定で、その章で紹介した考え方を実際に使ってみる練習ができます。

解答例もついているので、「自分の思考との差分はどこか」が確認できるのが良くて。読んで「なるほど」で終わるんじゃなく、使ってみることで初めてわかる感覚があります。概念を学ぶ本は多いけど、こういう練習ドリル的な設計になっている本はあまりないので、それだけでも手に取る価値があると思いました。

訓練できる能力だという話

最後に印象的だったのが、インサイトは訓練で高められるという主張です。天才コンサルタントの直感の話かと思いきや、かなり地道な訓練論でした。

自分の頭の使い方にクセとバイアスがあることを意識して、いつもと違う使い方を積極的にしていく。その繰り返しが戦略脳を鍛えるということのようです。


戦略を考える立場の人には読む価値がある一冊だと思います。特に「定石は知っているのに戦略がつくれない」という感覚を持っている人に。

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